週末の日本ダービーの本命馬であるコントレイル号の走りについての質問を報知新聞記者からの質問で答えるうえで,父親のディープインパクトの走りと,コントレイル号の過去の走りの映像を眺めてみてのコメント.
このところ,競走馬の走りと騎手の動きについての考察を続けている.競走馬といえば,サラブレッドであって,現在の競馬業界ではサラブレッド以外の馬はどうやら出走していないらしい.しばらく前にはアラブ系の馬もちらほらと聞いたが,今はまったくサラブレッド一色とのこと.良い父親と良い母親の遺伝子を掛け合わせることで,代々血統によってウマは作られてきた.すべてのサラブレッドはたった3頭,現在ではほぼたった2頭の子孫らしいが,やはり血統は大事みたい.
競走馬の走りの研究に興味を覚えたのは今から14年前のある日のことであるが,その日以来アイデアと構想を温めていた折に,研究室にはいってきた無類のウマ好きの学生,松本拓也君によってそれが研究へと進むことになった.松本くんの卒論で,ウマの下肢のエネルギー生成に関して明らかにしたのは2012年のことで今から8年前.2年後の2014年にはウマの前肢と後肢には慣性パラメーター(質量,慣性モーメント)が大きく異なるのに1完歩周期は同じである,という不思議な現象を明らかにした.バイオメカニズム学会誌で松本くんが発表した.
こうしてウマ単体での研究は過去7年ほど細々と行ってきたが,今回は競走馬の走りと騎手の騎乗スタイルを研究対象にしての競走馬研究へのカムバックである.今度はさらに面白い,騎手の動きまでを含めた研究であり,歩行研究だけでは完結しない面白さがある.
話を報知新聞競馬欄に戻すと,解説ではメールのやりとりのほんの一部しか掲載されていないが,ウマの走りもヒトの走りと全く同じく,物理法則に従うわけなので,速く走る条件というものが存在する.記事ではそのうち前脚・後脚の脚の運びについてが掲載されている.
- 前脚は前に大きく振り出して着地しない
- 後脚は大きく前に振り出して着地する.
この2点は絶対に譲れない条件であり,これはヒトの走りでも共通である.ヒトだと前脚と後脚がないのだが,20年ほど前からすでに常識的に脚は前方に着地しない,というのが知られている.